第3日目。朝、ホテルのビュッフェの朝食を食べるため1階のレストランへ行った。
私たちが泊まったモノロムホリデーホテルは日本食のレストランもあり、なぜか畳
敷きのバー(?)もあった。南国のフルーツも特に珍しくはないのだが、ジャカルタ
という土地に住んでいるからいつでも食べられると思って、意外と食べていないフ
ルーツもけっこうありなんだかガツガツと食べてしまった。海外の日本食レストラン
にはありがちなこの傘。これって日本風だと全然思えないんだけど、なんであちこ
ちでみかけるんだろう?誰が広めたんだ?
この傘、日本風じゃないよね? |
ドメスティックターミナル |
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朝食の後はを終えて荷物をまとめて、チェックアウトをした。ガイドさんが空港まで
送ってくれた。空港近くまで来て、シェムリアップまではドメスティックであることを
すっかり忘れていた。カンボジアのドメスティック便・・・想像もつかなかったけど、
ワクワクした。プノンペン市内を案内してくれたガイドさんとドライバーさんとはここ
でお別れした。ガイドさんはいつもニコニコしていて、親切で2日間とても楽しかっ
た。名前を覚えてあげれなくて残念だったけど。荷物を預けてチェックインカウンタ
ーで搭乗手続きをしている私たちを、出発ロビーの外のガラス窓から心配そうに、
見ていた顔が印象的で、私はちょっと感動してしまった。それが彼の仕事だとわ
かっていても、うれしかった。そう・・・私は単純なのだ。ガラス窓の向こう側で、私
たちに向かって合掌している姿が今でも記憶に残っている。
ドメスティックターミナル |
バンコクエアー機 |
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登場手続きをして空港使用税を払い、待合室のベンチで待っていたら・・・私はな
ぜか猛烈な腹痛に襲われてしまった。「ちょっとトイレ行ってくる」と言って1人トイ
レへと向かう。そういうしているうちにアナウンスが聞こえてきた。「ひょっとして私
たちが乗る飛行機の出発案内じゃないの?」と思っていたら、あんずが「ママ〜!
飛行機出ちゃうよ〜」とドアを叩く。「マジ〜?」でも、そんな、待って、生理現象な
んだから。焦れば焦るほど冷や汗も出てくる。あんずが「先に行ってるから」と言っ
てドアの前からいなくなると、余計に不安になる。でもドアの前で待っていられても
困る。ぬお〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!(←なんの掛け声でしょうか?)
トイレを出ると、掃除係のお姉さんが「ぷっ」と笑っていて、恥かしかった。待合室に
行くと係員が「この便に乗るの?」と聞くので「そうです」と答えた。どうやら私が最
後の乗客のようだった。弁解するわけじゃないけど、別に飛行機の出発時間は遅
らせたりい。ただ最後だったというだけなのだ。(言い訳がましいか・・・)
FT996便 |
プノンペン市内上空 |
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そんなわけで定刻通り、ほぼ満席でFT996便は出発した。機内は真中に通路が
あって、両サイドに2列ずつの小さなプロペラ機だった。たぶん今まで乗った飛行
機の中で最少の規模かもしれない。プノンペンからシェムリアップまで約1時間の
飛行である。機内食ってあるのかなぁ〜?と思っていると、出てきた!それはパ
ンと水だけが入った小さな機内食で、その他にジュースがついた。特にお腹が空
いていたわけじゃないけど、少しだけちぎって食べた。飛行機のエアコンは、以前
ボロブドゥールへ行った時に乗ったのとよく似ていて、頭上にエアコンの噴出し口
があり、風の向きは自分でじかに調節するタイプだった。機体は小さかったが、そ
れほど揺れもせず、たぶん乾季という気候のせいで上空の気圧が安定していたの
だと思える。高度がジェット機ほど高くないせいか、いつもは耳の痛みを訴えるあ
んずも今回は何も言わなかった。シェムリアップ空港まであと少しになったところで
眼下に沼のような湖のような湿原が出現した。
機内食 |
湿原 |
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シェムリアップの空港に着陸して、飛行機を降りるとそこはこんな感じだった。
シェムリアップ到着 |
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空港は天井の骨組みがそのままむき出しで、倉庫のような内部。もちろんターン
テーブルなんてあるわけがない。荷物を運ぶトラックがついて一つ一つ手作業で
床に並べていく。自分たちのスーツケースを見つけて空港の外に出ると、ガイドさ
んが待っていてくれた。彼もまた難しい名前で、私は、覚えることができなかった。
「今、車を呼びますからここで待っていてください」と言われて待っていると、そこに
やってきたのは大型観光バス!ええ?なんでこんな大きいの?他にもツアー客が
いるんだろうか?と思うとなんと、私たち3人だけだった。「なんで、こんな大きいバ
スなんですか?」と聞くと「小さい車は全部出払っていたので」と言われた。しかし
それにしてもなんだかもったいない気がしてならない。バスの中で、シェムリアップ
周辺の地図や、詳しい日程の説明を受けながらホテルへ向かった。ホテルまでの
道はきれいだった。以前「電波少年」で放送していた「アンコールワットへの道」と
いう企画で、でこぼこ道をきれいに舗装するというのがあったが、あれはどこの道
なんだろうと思ってしまった。私たちがシェムリアップで泊ったホテルは国道6号線
沿いにあった。国道といっても・・・↓こんな感じである。
国道6号線 |
ランチ食べる前 |
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ホテルにチェックインした後、すぐに昼食を食べに行った。そのレストランはこのガ
イドさんが働いている旅行会社が経営しているレストランで、オーナーは日本人だ
った。店内は涼しげな色彩で統一されていて、食器もインテリアも落ち着いたいい
感じだった。食事も味付けは日本人向けで美味しかった。・・・というか、カンボジア
で食べたどの料理も味付けは日本人の舌に合うものばかりのような気がする。特
にこのレストランで美味しかったのはスープ。なんだろう?やっぱり椎茸がいい味
出しているのかなぁ?スープに入っていた大根もいい味になっていた。春雨のサラ
ダはタイ料理風でレモン味、一番右端の料理がカンボジア料理で、茶碗蒸のよう
な、卵とじのような変わった食感だった。上に乗っている黒い物は海苔か昆布で、
ほんとに不思議な味だった。でも決して不味くはなかった。ちなみにカイランって
いうのはインドネシアでの名前。
空心菜(カイラン) |
揚げバナナ |
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食後、ホテルに一旦戻ってからいよいよアンコールワットに向かった。アンコールと
は「街」、ワットは「寺」という意味なので、アンコールワットは「寺の街」という意味
であるらしい。実際、シェムリアップにはお寺が点在していた。アンコールワットは
12世紀頃、スーリヤバルマン2世が建てた、元々はヒンドゥー教寺院であるが、
現在は仏教寺院になっているらしい。アンコールワットやアンコールトムなどの遺
跡を見るために、入場料を払わなければならない。私たちは今日と明日の2日間
観光することになっているので、お得な3日間用のパスを購入した。これは、40ド
ルで、パスポートサイズの写真が必要である。遺跡地区に入るための料金所で、
購入できる。料金所を通り林の中の道を通ると池に突き当たる。この池はアンコー
ワットの外堀だった。この外堀はアンコールワットを取り囲むように続いている。
雲が流れるシェムリアップの空 |
水に映る雲 |
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アンコールワットは他の遺跡と異なって、西側の門が正面であるらしい。そのため
戦没者のためのお寺か、もしくは王様のお墓かもしれないらしい。私たちは、その
西の正門から入場した。アンコールワットは東西に1.5km、南北に1.3kmで、
周囲を全長5.6kmの堀で守られている。西の正門からの通路は外堀にかかる
橋のように西参道テラス、十字回廊まで続く。参道の門をくぐるとそこには草原が
広がっていて、遠くに第1回廊及び祠堂が見える。中央までは遠く、果たして辿り
つけるのかどうか不安だった。
外堀に渡る通路 |
参道 |
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あんずはここでもガイドさんと手を繋いで、どんどん先に歩いていくし、私は写真を
撮りまくっているのでやたら遅れる。参道はこうして見ると平らなのだが、ところど
ころタイル状の石が凹んでいて、ちゃんとしたを見て歩いていないと転びそうにな
る。参道の途中で聖池が左手に見えてきて、その池の方へ向かって右折する。こ
の池越しに見るアンコールワットの写真や映像をあちこちで見て「ああ!ここだ!」
と私は心の中で思った。ここから見るアンコールワットが一番きれいだと思う。ガイ
ドさん曰く、この聖池にアンコールワットが映って見えるのがきれいだという。なる
ほど・・・きれいだ。私たちが訪れた12月、カンボジアは乾季のため、この聖池は、
水量が少なかったのだが、それでもきれいだと思った。空がもっと青ければ・・・と
か、夕焼けの時間なら・・・とか思ってしまったのは、贅沢かな?
↓クリックして見て↓ |
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聖池で記念撮影をした後、トイレに行きたくなった。ガイドさんは、遺跡の中にトイ
はありません」と真顔で言うので笑ってしまった。そりゃそーだ。お土産物屋さん
の後ろにトイレがあるので、今のうちに行っておこうとしたら、ガイドさんが「子供が
案内してくれるので500リエルほどあげてください」と言った。え!リエル?私、も
ってないけど、どうしようと思ったら夫がなぜか「ある」という。なんでも前日に私が
インターネットカフェにいた時、近くを散歩していてその時にガムを買い、そのおつ
りが残っていたそうだ。そんなわけで、子供が案内してくれる後をついてトイレにい
ったのだが・・・一応個室ではあった。ちゃんと鍵も閉まる。しかし、ドアを閉めると、
中は真っ暗なのだ。だからといってドアを開けてするわけにはいかないし・・・どうす
りゃいいのよ。しばらくすると目が慣れてきたので、ズボンを脱ごうとしたら、何か
の気配に気付いた私。気付かなくてもいいのに。それが嫌いな人ほど見つけてし
まうのだ。それとは、虫。ぎゃあ〜〜〜〜〜〜!と叫んでトイレの外に出た私。
大丈夫、ご心配なく。ちゃんとパンツははいておりました。しかしその慌てふためく
姿を見て現地の子供たちはあからさまに笑ったりせず、でもにやりと笑い「ノープロ
ブレム」と言った。どこがやねん!なにがノープロブレムやねん!全然ノープ
ロブレムとちゃうがな!思いっきりツッコミをいれたけど、その子はクスクスと笑
うだけ。勘弁してくれよ〜。なんとか用を足して、みんなが待つところへ戻り、いよ
いよ気を取り直して第1回廊へ入ることとなる。(←前振り、なが〜)
第1回廊 |
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第1回廊は壁画が彫られているのだが、ご覧のように表面がてかてかしている。
これは心無い人たちが触ったため。もしくはその歴史的価値を知らない人たちが、
何年、何十年にも渡って触ったため、石の表面が磨かれたような状態になってし
まったのだった。現在は上の写真のようにロープを張って近づけないようにしてい
るし、ところどころに監視員がいて、悪戯しないように見張っていた。第1回廊の壁
画は「ラマーヤナ物語の戦いや、アンコールワットを建てたスーリヤバルマンU世
の軍の様子などが東西200m、南北180mに渡って描かれている。
壁画 |
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第1回廊外観 |
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第1回廊を一周して第2回廊に続く階段を上るのだが、その階段の高さに思わず、
目が眩んだ。うっそ〜こんなの上るの〜?まじで〜?しかしこの階段はまだいい
ほうらしい。それってどういう意味なんだろう?
第2回廊への階段 |
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第2回廊内部は第1回廊と違って、壁画もなく、後から持ち込まれた仏像があるだ
けである。その仏像も下の写真のように首がないものが多かった。アンコールワッ
トはもともと、ヒンドゥー教寺院であったが、現在は仏教寺院になっているらしい。
そのためヒンドゥー教徒たちがもしかしたら仏像の首を持って行ったのではないか
とされている。
首のない仏像 |
第2回廊内部 |
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第1回廊と第2回廊の間は草原だったが第2回廊と第3回廊の間は石畳だった。
その石畳を歩く、赤とオレンジの衣を着たお坊さんの姿が美しく、灰色の遺跡の中
で一際目立っていた。
2人のお坊さん |
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そしていよいよ第3回廊へ上る。この階段はさっきのより急だった。手すりも何もな
いのは当然である。階段自体に手をかけて、一段一段上っていく。太股が悲鳴を
あげている。だけどここでやめて第3回廊には行かないわけにはいかない。ここで
やめたら、なにしにカンボジアに来たのかわからない。上るのよ〜後ろを振り返っ
てはいけないのよ〜振り返っても恐いだけだから。あんずは相変わらず、どんどん
どんどん先に上っていき、私はデジカメを夫に預けて途中で振り返るから撮ってと
言って先に上った。決して高所恐怖症ではないのだが、下を見るとその急な斜度
にびびってしまう。アントニオ猪木氏の、あの言葉をこんなところで思い出してしま
った。「危ぶむなかれ・・・迷わず行けよ、行けばわかるさ」というあれである。
階段の途中で |
見よ!この急斜度 |
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階段を上りきるとそこは本堂があって、後世になってから持ち込まれた仏像が安
置されていた。本堂の屋根の部分はストゥーパになっている。このとうもろこしの
ような形は、タイのアユタヤ遺跡で見た物と同じである。
中央部本殿の屋根のストゥーパ |
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第3回廊の内部は4つの池があったとされており、北側には井戸の跡らしきものも
あるそうだ。もしもここに池としてみずがあったら、それは非常に幻想的で、美しい
景色であっただろうと思った。池があった時はやはり聖池として、水浴びをする為
に使われたのであろうか。なみなみとたたえる豊かな水がアンコールワットを守る
僧侶達のためであり、僧侶達の祈りが戦没者、もしくは王家の死者の霊を守って
いたのだとすれば、何一つ無駄になるものはなかったのだろう。
休憩中 |
池の部分 |
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急な階段を上ったため、体力を激しく消耗し、しばらくこの中央本殿にて休憩するこ
とになった。しかし休憩すると言っても、私は1人でガンガン歩き回って、写真を撮
りまくって、休憩になるようなことは何もしなかった。
中央本殿からの景色 |
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本当はお坊さんと写真を撮りたかったが、あまりにミーハ−なので姿を見かけては
こうやって隠し撮りをしていた。↓この写真、実はこのお坊さんの隣で金髪の白人
女性もいたのだが、こんな構図にしてしまった。だって金髪の女性との2ショットな
んてヤダ〜!撮りたくない〜!これって嫉妬?(笑)それともお坊さんに対する過度
の妄想と期待かもしれない。
お坊さん |
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この時期カンボジアは乾季だったが、今ひとつ空の様子がはっきりしない。ガイド
さんは「夕方に雨が降るかも」と不吉なことを言い出すくらい、空はどんよりとして
いた。さっき上ってきた急な階段を今度は下りなくてはならない。大丈夫かな?と
不安に思っていたら、くだり専用の階段であるらしくそこだけ手すりが後から取り付
けられていた。しかし!この手すりにつかまって、下りて行くこともためらってしまう
ほどの恐怖感を感じる。決して高所恐怖性ではないのにやっぱりこの斜度と高さ
は最初の一歩を躊躇してしまう。遊園地の高いところから落ちる乗り物もあまり恐
いと思ったことがないが、ここは恐かった。何しろ自分の足で下りていかなければ
ならないからだ。自分ほど当てにならないものはない。私はホントに自分を信用し
ていないんだなと思った。「行きはよいよい、帰りは恐い」まさにそうだった。
高い・・・恐い・・・ |
ビビってます |
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しかしいつまでもここにいることもできず、あんずも夫も先に下りてしまい、ほとんど
意地だけで階段を下りた。そしてもう1つの階段も下りて最初の聖池のところまで
戻ってきた。来る時は参道テラスを歩いてきたが、その下の草原を歩いている人も
いたので、私はそっちを歩いていった。たぶん多くの人が同じように歩いているせ
いで、獣道のように細く道が出来ていた。
草原の獣道 |
参道テラス |
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↓の写真を見ておわかりでしょうか?随分、夕方が近づいているのだ。日本の秋
なら、ここから一気に日が落ちてしまうのだが、緯度が低い東南アジアはここから
けっこう時間がある。とは言うものの、この後バケン山へ上り夕陽を見ることになっ
ていたので、自然に気は急いでしまった。西の正門へ出た時にこの雲を見て「ひ
ょっとしたら今日の夕陽は見れないかも」と思ってしまった。昼間、あんなに真っ青
だった青空にいつの間にこんなに雲がかかってしまったんだろう?
どんより、夕方の外堀 |
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そしてバスに乗ってバケン山の入り口までやって来た。そこでもう一度トイレへ行
くことにしたのだが、ここのトイレはさっき私が叫んだトイレのようなものではなかっ
た。しかし、夕闇が迫るこの時間帯に森の真中にあるトイレの中は真っ暗なのだ。
トイレの管理人らしき人に「電気つけて」と言うと、その人は私に懐中電灯を差した
ではないか。「ええ!?」と思って受け取って足元を照らしながら進み、個室のドア
を開けて中に入った。洋式の水洗トイレで一応紙もあった。しかし!真っ暗。リュッ
クをドアの取っ手にかけたものの、懐中電灯はどこに置けばいいのだ?っていうか
どこを照らせばいいのか?高いところに置いて、個室全体を照らしたいけどできそ
うにない。便器に座って自分の視線の先を照らすのも意味がない。だからと言って
自分自身を照らすのはもっとバカだ。あごの下に懐中電灯をおいて、1人、トイレの
中で「うらめしや〜」と言ったところで意味がない。結局、トイレットペーパーの上に
置いて自分の下半身を照らして用を足した。なんかこれもバカすぎる気がしたけど
他にいい方法、もしくは照らす場所があったら教えていただきたい。なんとかトイレ
を終えて出て行くと、かなり夕暮れ時間が近づいていた。トイレから登山道入り口
まで近いので歩いていくことにした。このアスファルトの道はよかったけど、登山道
はひどかった。上り始めてほんのちょっとで、これ道じゃなくて崖じゃないの?と思
い始めた。一応階段のようになっているが、石の一つ一つが元々大きい上に崩れ
ているし、石のしたの砂地が見えていたりして本当に上りにくい。「あたし、ここで
待ってるから」と言おうとした。だけど・・・夕陽が見たい。絶対に見たい。そのため
に、ここまで来たんだ。私は欲望先行型人間である。意地も理屈も何もない。ある
のは「見たい」その一心だった。最後、ほとんど無口になって上り、心の中に「ひょ
っとしたら間に合わないかも」という諦めもあった。登山道を上った先には・・・
森の中の道 |
バケン山登山道 |
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この空の色があった。やった!間に合った!ほとんど体力は使い果たしているに
もかかわらず、無意識のうちに走り出していた私。
この空の色 |
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そしてついに山頂から沈む夕陽を見ることができた。自分も見たかったがあんずに
も見せてやりたかった。きれいなものを見るという事は「きれい」と思う心を育て感
動する心を育てる事になるのではと思っているから。車のCMで「物より思い出」と
いうコピーがあるが、まさにそうかもしれない。
夕陽を見る |
祠の隙間から |
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最後、まさに太陽が地平線に沈んだ瞬間に拍手が起こった。なんに演出もない、
けれどもそれは本当の太陽と地球のドラマだった。何千年、何億年と繰り返してき
たこの美しい瞬間を、たった1度でも見ることができたことを幸せに思った。世界は
こんなにも広く、ひょっとしたらほんの小さなタイミングのずれで、自分はここにいな
かったかもしれないのに。地球に空気や水のある星でよかった。太陽が輝く星で
よかった。太陽が沈んだ後は、ほんの数分で空は青くなり始めた。そして夜が始
まる。
↓クリックして見て↓ |
ほんの数分後 |
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早く山を下りなければ・・・さっき上ってきた登山道が真っ暗になってしまう。そうな
ると大変危険だ。しかし、さっきのアンコールワットでもそうだったように下りる方が
恐いのだ。まるでコブだらけのゲレンデが恐くて、スキー板を担いで歩いている人
のようだった。おかげで後ろから来た人に何人にも追い抜かされた。しょうがない。
ヘロヘロになりながら、辺りが闇に沈む前にバスまで戻ることができた。お腹がす
いていたが、それよりも先に着替えたいので一旦ホテルに戻ってもらうことにした。
とにかく汗びっしょりで、気持ち悪かった。我が家だけのツアーなのでこういう点は
融通が利いてよかった。ホテルでシャワーを浴びてから着替え、レストランに向か
った。この夜の料理も全部美味しくて、好き嫌いが多い私だけど、どれも全部食べ
る事ができた。とくにこの春巻き!絶品だった!
旅行中、いつも量が多すぎて残していたのだが、この日はハードだったせいか、み
んなで残さずに食べた。あんずもすごい食欲だった。食後、レストランの中庭へ出
てみると、こんなきれいな蓮の花が咲いていた。雲が多かったけど月も見れた。だ
けどこの月の写真、形が歪んでいるのは、酔っ払って手元がぶれたせいである。
情けない・・・
蓮の花 |
シェムリアップの月 |
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そんなわけで疲れとアルコールのせいでこの日もぐっすり寝れる・・・と思いきや、
ホテルのレストランの野外劇場でラ・マーヤナ物語が上映され、その舞台がちょう
ど私たちの部屋の真ん前だった。「何時までするんだろう・・・」と思っていたら、9時
頃、その劇も終わった。最後まで見たわけじゃなかったがやっぱり気になるのだ。
明日のために、この日の疲れを取るためにさっさと寝た。それにしてもこの日はト
イレにまつわるトラブルの多い1日だった・・・
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